2007年7月の独り言

1(日)くもり時々雨。

今日はお給料日後すぐの週末、しかもバーゲンシーズンとあって、お天気が悪いにもかかわらず街には人がたくさん繰り出していました。バスで練習場に向かっていたワタクシでしたが、おかげで繁華街のあたりは車も混んでいて、なかなかたどり着けませんでした。むむ。
でも、バーゲンの時期の街並みは活気があって嫌いじゃないんです。特に京都は祇園祭に向けて盛り上がる手前のいいテンション。体力と財力があれば、どんどん繰り出したいところです。ただ、今は週末に二日連続演奏会を控えて気になっているので、残念ながら物欲は低下傾向。よーく考えてみれば、そろそろ舞台衣装だって新調したいし、そのためにチェックしたいのにな。「さて」と思った時にはバーゲンは終わっていたり。何事もタイミングが大切。とほほ。


5(木)くもりのち晴れ間。夕方から洗濯。

昨日は、ハンガリーから来日しているプロムジカ合唱団のいずみホールでの公演。ワタクシは伴奏でお手伝いしているカンティサクレがその歓迎演奏に出演するために、夕方にいずみホール入り。演奏が終わると急いでバルコニー席へ移動し、続く本編の演奏を聴かせて頂きました。
いろんな演奏をいずみで聴いたけれど、こんなにホールの空間中を響きで満たす演奏ってそうそう聴けないんじゃないかと感じるほど、耳だけじゃなくて肌というか皮膚の細胞から染みて入ってくるような響き。胸声の響きも有効に駆使して、女声合唱なのに倍音が鳴りまくっていました。中音域もしっかりと充実していて、お国もののコダーイやバルトーク、コチャールなどはさすがの演奏(個人的には前半最後のビーブルのアヴェマリアが好きでした)。ワタクシたちも日本語の作品を大切に、違う言葉の国の人たちにも伝わる説得力をもって演奏したいものです。


8(日)くもり。お天気なんとか保ちました。

昨日(京都府立大学合唱団&大谷大学混声合唱団ジョイントコンサート)今日(京都楽友合唱団)と連続で演奏会に出演。これで今年度前半が終了です。
ここまでを振り返っての大きな反省点としては、5月後半からずっと原因不明の咳が続き、温度変化や何かのきっかけでかなり咳き込んでしまい、その頃練習や本番でご一緒した皆さんには多大なご迷惑ご心配をかけ、申し訳ない事でした。それ以外は大きく体調を崩す事もなく、なんとかここまでこられてホッとしています。
お陰様でいろんな舞台に立たせて頂いて、いろんな新しい出会いもあり、思いがけず繋がったネットワークがあったり、本当に人間関係には恵まれ過ぎという感じです。そして年々たくさんの方にワタクシを知って頂いているようで、「この前◯◯の時に聴かせて頂きました!」というようなお声がけをされる事が増えました。嬉しい反面、中途半端な演奏はできない、責任の重さもヒシヒシと感じています。ただ、これは窮屈に思わず、支えにしていきたい事でもあります。一人でも多くの方に、ワタクシの音を通じて何かしら作品の印象を残していくのが、ここにいる使命とも思えるからです。そして、ワタクシの人間性や音楽性を信じてご一緒して下さる人たちに対して、いつも誠実に取り組む事こそが恩返しなのだと思っています。「人に優しく、自分に厳しく」。難しいけれど、音楽の上でも日常もそうありたいものです。


15(日)台風一過。祇園祭もこれで大丈夫。

今日はアルティ声楽アンサンブルフェスティバルの第一日目。台風のせいで、愛知と神奈川からの合唱団の到着が大幅に遅れ、実行委員会側の方々はヒヤヒヤされた事と思います。ワタクシ、去年このフェスティバルの二日目だけお邪魔したのですが、裏方さんや実行委員の方々の熱意に心打たれまして、今年はきっと二日とも行こうと決めていました。今日も駆け回って演奏者と聴衆におもてなしを下さいました。
神奈川からの招待団体「小田原少年少女合唱隊」の指導者で、今日のワークショップの講師でもある桑原先生は、きっと長時間の移動とストレスで疲れていらっしゃるだろうのに、熱心に発声の講座をして下さいましたし、合唱団も実に立派な舞台を見せてくれました。あの演奏で世界中にファンを増やしているのでしょうね。納得。公募団体で出演された中では、島根から来られた「PLOVER Pure Blueberry」が、急遽の出演とは思えない爽やかな歌声と動きのある魅力的なステージでワタクシは好きでした。
会場では、阪大男声OB、メディックスの現役やOB、谷混OBOG、VIVO団員などなど見かけたりしました。現在伊東さんが関わる団体に所属する人や、特に京都で合唱に興味を持つ人なら、自然とこのフェスティバルを知る事となる訳ですね。お互いに久しぶりだったりするとすぐに立ち話になって、図らずも相手の行く手を阻んだり(苦笑)。それもまたちょっと楽しいひとときでした。
そして会場でCD販売をされていたジョバンニレコードの木村さんは、なんと岐阜の合唱連盟で平林の母と一緒に役員をされていた事があるらしく、母からその話を聞いていたワタクシ、今日ご挨拶する事ができ大変嬉しく思いました。そして多治見西高校合唱部と合唱団ますらめによる「万葉恋歌」というCDを購入。今それを聴きつつ日記を書いていたのであります。なかなかの熱演です。最初に入っている信長さんのアカペラもいいし、ハンガリー物も得意にしてらっしゃるようだし、この最後の新実さんのもまた素敵だなぁ。新実さんの2曲だけ伴奏つきなんですけど、伴奏もうまい!このピアニスト、まだ愛知県芸の大学院に通う学生さんだそうです。こういう人にどんどん素敵な伴奏を弾いてってほしいなぁ!人の事言ってないでアンタが頑張れ、という声が聞こえそうなので、今日はこの辺にしておきます。ハイ。


16(月・祝)午後から雨降り。祇園祭、大丈夫?

アルティ声楽アンサンブルフェスティバル二日目。今日はお昼過ぎまでカンティサクレの練習に参加して京都に移動、お昼を軽く済ませて出ると外は大雨で、傘を持っていなかったワタクシ、仕方ないのでタクシーでホールへ。
まず松下耕さんのワークショップ。こんなに面白い人なんだ、とビックリ。ピアノを使いながらの耳を集中させる練習では、「短三和音が鳴ったら手を挙げて下さい」との言葉にワタクシ即反応、本気で腕を挙げ降ろし(笑)。また「音楽には記憶で楽しめる素晴らしさがある」とのお話はワタクシがずっと言っている事と通じていて、大変嬉しく思いました。「合唱曲スーパーウルトライントロクイズ」なるコーナーでは大いに笑わせてもらって、1時間強のワークショップだったけれど時間経過を感じさせないのは、人気者の証だなぁと本当に感心というか敬服しました。
休憩をはさんで公募団体の演奏。昨日交通機関の遅れのために演奏できなかった安城学園高校合唱部を含めて5団体。ワタクシは個人的に「アンサンブルVINE」の大人の優しい響き、特にMI・YO・TAは心にしみました。
そして3ステージ目は招待演奏でいよいよ「室内合唱団VOX GAUDIOSA」の登場。イメージとしては、響きは広い場所を無理矢理想定するのではなく、自分の周りの振動をコントロールしながら少しずつ増幅させる感じ。力みや無理からくる声の割れはどこにもありません。子音はあとの母音の響きが伝わるスピードを考えて、少しずつ手前に処理する。というのを、理屈ではなくあくまで音楽的に、そして自然にやってらっしゃいました。日本語曲では、少しJAZZYな雰囲気を生かして、子音をクリアー気味に発音、「響きにとらわれると言葉が伝わらない」というストレスは最小限に抑えられています。本当にさすがです。松下さんの普段の和やかなキャラクターとは少し違う熱い指揮も、じっくり見せて頂きました。伊東さんとの信頼関係も、そのお二人の音楽を聴けばなるほど納得です。「いいものはいい、とわかる事こそがしゃーわせだ」とつくづく実感した二日間でした。ありがとうございます(礼)。


21(土)くもり時々雨。夕方から晴れ間。

おとといから発熱してしまったワタクシですが、昨日一日でなんとか平熱まで下げました(楽友合唱団の皆さん、ご迷惑をかけました。すみません。。)。
で、今日念願の「釣り」へ出かけてきました。生涯初フィッシングです。お目当てはアジとイワシ。釣った魚は南蛮漬にするのだ、ともうメニューまで決定している気合いの入れようでした。一緒に行くダンナくんも久しぶりという事で、二人とも釣り道具など一切持たず、向こうでレンタルしようという事に。
朝の6時に開園するので、4時起きして車で須磨の辺りまで出かけました。曇天だしどうかな、なんて言ってたら、既にいらっしゃいます、釣り糸を垂らしている人たちが。恐れ入りました。初心者のワタクシに初ヒットは「めばる」。

ダンナくんもベラから始まって、サバを次々ヒット。最終的な収穫はこんな感じ。アジやイワシはゼロだったけど、サバは10尾、メバル1尾にベラの大きいのが1尾、小さいのが2尾、隣で釣ってたおじさんからガシラを頂き、魚は全部で15尾に!

帰宅後、下準備は結構大変だったけど、「めばる、ベラ、ガシラの煮付け」と「サバの味噌煮」が出来上がり、食卓はまるで漁師の家なのでした(笑)。





28(月)夕立に降られた。スカートがビダビダに〜!

今日は松下中央合唱団の演奏会を聴いてきました。レヴェルの高い団である事は周知の事実だし、常任指揮者の本城さんが阪大男声のOBで、以前から阪大男声の定演はじめいろんなコンサートでお目にかかり、お話させて頂いてその気さくな人間性に触れ、一度単独の演奏会を聴かせて頂きたいと思っていたのです。よーく見れば、男声部方面に知った顔がちらほら。。舞台をご一緒した事はないけれど、なんとなく少し親近感が湧くのでした。
印象は「端正な大人の演奏」という感じでしょうか。「思い出すために」は私自身も演奏した事があり、それなりに何か理想のようなものがありながら聴いたので、それとはまた違う印象でしたが、そこは千差万別で当然でしょう。アカペラの「おらしょ」では素敵なハモリを聴く事ができました。ソリストをしていたのは阪大男声OBのYくんではありませんか!元気そうだなぁ、でも上ずったのは残念だなぁ、なんて思いつつ。休憩後は、ぎこちなさも新鮮な(?)二人の司会者に和みつつ、映画音楽のステージ。シンプルなアレンジのものより、ちょっと凝ったアレンジの「Over The Rainbow」と「Michelle」が私は好きでした。「明日に架ける橋」は皆さんノッてくるのでしょうね。ちょっと熱い演奏。ピアノの熊谷先生、こういうポップスも雰囲気あって素敵です。最後の3つのアヴェマリアのステージは圧倒的な集中力と魅力的な響きに圧倒されました。団の指揮者お二人もメンバーに混じり、オーダーも両端がひな壇から降りた形に。それが非常に効果的でした。ゲストの藤井さんの指揮に、声が波のように押し寄せては引くような立体感。あちこちで引っ張りだこなのは大きく納得です。


30(月)蒸し暑い日。

昨日、新大阪のベーゼンドルファーショールームにて、コレペティトゥア(オペラや歌曲等で歌い手にピアノ伴奏を通じてレッスンする人)の三ツ石潤司さんによる公開レクチャーを聴きました。現在はウィーン国立音大声楽科伴奏助教授、ヴュルツブルク国立音大声楽科、オペラ科講師をなさっています。あっという間の2時間。大先輩の本当にありがたい言葉の数々を聞き、また勇気を頂いたような気がします。
テーマは3つ。モーツァルトを題材にしたもの、シューベルトを題材にしたもの、最後に「初見の速さについて」というものでした。作曲家がいかにその音に思いを乗せ意味を与えるのかという話では、モーツァルト自身が書いた手紙を参考に、有名なオペラ作品の中からいくつも例を出しながらの説明は大変解り易く、またシューベルトのピアノ曲に見られる歌曲との関連性では、一緒に行った友人がちょうど取り組んでいるソナタと歌曲集「冬の旅」を題材に、なるほど納得なのでした。また「初見の速さ」の話も興味深いものでした。勿体ないからここには書かない(笑)。これについては興味のある方、ワタクシまで聞きにきてね。
そしてまた面白かったのが質問コーナー。三ツ石さんの人間性が垣間見えました。
ある若い女性の「学校でコレペティをする事になった。初めてなのだが、どういう事に気をつけるべきか。」という質問に対しての答え。「コレペティは経験です。ギャラが安いなと思っても(笑)どんどん引き受けて、できるだけたくさん勉強して下さい。僕の知っている優秀なコレペティは皆若い時からやっている人ばかりです。そして何よりまず相手を受け入れる愛情を持ち続ける事が大切です!」
ある男性の「日本人留学生に共通する特徴で長所、短所はあるか。」との質問には「あります。問題なのは、長いフレーズが歌えない事。本当にできない。ひとつずつデクレッシェンドするように歌う傾向がある。あと、言葉の意味を理解せずに歌ってしまう事。意味がわからずに何を伝えようと言うのか。伝えたい事がないのなら辞めればいいと思う!」と言いきってらっしゃいました。きっとそういう学生にたくさん出会って、何度ももどかしい思いをされたのだと思います。
そして私の友人の質問「ピアノでもさきほどの歌の話と同様フレーズが切れ切れになってしまう。どうすればいいのか。」には「歌でもピアノでも、フレーズを長く奏するとかレガートで奏するには、フレーズ終わりまでの音楽をイメージする事と、それ相応の圧力が必要。身体を使って音圧をかけるのです。」とおっしゃっていました。
ご自身が関西出身という事もあり、柔らかい関西弁で笑いも交えながら気さくな雰囲気のレクチャーでしたが、こちらの心の中を見透かされたような感覚を何度も覚え、やはり頭のキレる人でないと踏み込めない領域にいらっしゃる人なのだと感じました。師匠と同様、大きな目標にしたい人です。このレクチャー、第2回以降シリーズにならないかなぁ。。

翌月(2007年8月)の独り言はこちら

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